这篇在当年的广播里没有出现过,算是drama cd的附加。我很喜欢这段,小西克幸和中村悠一两人非常出采!活灵活现!
第七回 星辰剣
CAST
ティル:鈴村健一
フリック:中村悠一
ビクトール:小西克幸
マッシュ:布施雅英
クレオ:竹间千ノ美
星辰剣:山根剛
(本拠地)
ビクトール:おお、ここにいたのか、ティル。ちょっと相談があるんだ。
ティル:ビクトール、フリック?
ビクトール:おれとフリックで、ちょっと西のロリマーに行って来ようと思ってな。
ティル:ロリマー?
ビクトール:今、各地で反乱の火の手が上がって、帝国軍はそれにかかりっきりだって話、聞いているよな。で、守りが手薄になってるうちに、ロリマーにある反乱勢力を、ひとつにまとめて来ようと思うんだ。なんだって、ロリマーにはフリック出身の村もあるし、おれたちだけで、楽勝だと思ってな。
ティル:わかった。頼んだよ。
ビクトール:ああ、おれたちに任せて、おまえは少しのんびりやれ!暗い考え事ばっかしてんじゃねえぞ~。
ティル:ビクトール……へっ、ありがとう。
(出発前)
フリック:何がおれたちだけで楽勝だ?本当なら、部隊を二つ、三つ必要とする戦いだってのに。
ビクトール:しかたねえよ。ティルに正直話したところで、余計な心配かけるだけさ。
フリック:はぁ、おまえと付き合ってると、ろくな目に遭わないな。
ビクトール:そんなこと言わず、道案内頼む!さあ、行くぜ!
(本拠地)
ティル:吸血鬼?!
マッシュ:はい、ロリマー地方の将軍は、恐ろしい魔法を使い、墓場の死体をゾンビの兵士に変える吸血鬼です。もともと死んでいますから、当然攻撃も、魔法も効かない。おまけに、戦死者が出れば出るだけ、向こうの思うツボで、手出しができない状態です。唯一、吸血鬼を倒せるという武器が、フリックの故郷近くの洞窟にあるらしいのですが。
ティル:じゃ、ビクトールたちはその武器を探しに?その前に、襲われたらどうするんだよ。ぼく、今から追いかける!
クレオ:それが、ティルさま!今回は、ビクトールは一人で片をつけたいと言って、もちろん止めましたが、とても聞いてくれる状態ではありませんでした。吸血鬼がネクロードという名前だと聞いたとたん、ものすごく取り乱して。
ティル:ビクトールが?どうして?
クレオ:わたしたち、そういえば、彼のこと、何も知らないですよね。どうしてこの戦いを続けているのか、も……
ティル:何だよ、ビクトール!普段僕たちには世話ばっか焼くくせに、なんでこういうときは黙って行っちゃうんだよ!帰ってきたら、ただじゃおかないよ!!
(洞窟内)
ビクトール:うっ!なんか今、死神に後ろに立たれた気がしたんだが……
フリック:いるかもな~。この洞窟は、おれがガキの頃から、霊験あらたかな洞窟だって言われてたし。
ビクトール:ああ!おまえが外の寺に落書きをしようとして、坊さんに怒られて、罰としてここに放り込まれたんだっけ。
フリック:うっ、おまえ、なんでそんなこと知ってる?
ビクトール:解放軍の酒場で飲んでるとき、自分で言ったのは覚えてねえ?じゃこれは?おまえ、25にもなって、村の成人として認められてないって話とか。剣の名前がオデッサだとか?
フリック:おおっ!おれ、そんなことまで喋ってんのか?
ビクトール:けっこう語る酒だぜ、おまえ。まあ、おかげで、おれは退屈しねえけどな。
フリック:ビクトール!!
ビクトール:そんなに怒るなって。
(剣を抜く音)
ビクトール:えっ?おまえ、何剣抜いて、こっち向けてんだ?わ、わかった。謝るから!
フリック:バカ!うしろ!!!
ゾンビ:ウォォォォォォ。
ビクトール:ゾンビ?くそ!いつのまに?
フリック:囲まれてるぞ!
フリック:だめだ、こいつらはもともと死んでるんだ。切っても切っても起き上がってくる!
ビクトール:しかし、なんでこんなに?
フリック:この近くには、墓場がある……あっ、もしかして、そこの死体を?
ビクトール:もしかしなくてもそういうことをやるやつだ!ネクロードの野郎はよ!やぁぁぁぁぁ!
フリック:ビクトール!無茶だ!戻れ!!くそ、雷の紋章よ、その力を示せ!雷雨!(#雷の紋章LV2 雷雨 敵全体に100前後のダメージ)
ビクトール:フリック、今のは?
フリック:おれが、雷の封印球つけてたことに感謝しろ!蹴散らして道を開くだけで精一杯だ!今のうちに、突っ切るぞ!
ビクトール:おおっ!
(逃げ切った)
フリック:ここまで逃げれば大丈夫だろう。はぁ…はぁ。
ビクトール:すまねえ、フリック。助かったぜ。
フリック:バカヤロウ、かっとなって飛び込んでいくなんて、おまえらしくないぞ。
ビクトール:わりぃ。
フリック:なぁ、ビクトール。おまえ、ネクロードとどういう関係なんだ?
ビクトール:ああ、関係っつーか、ちょっと個人的な恨みがあってな。やつのこととなると、つい頭に血が上っちまうんだ。
フリック:吸血鬼と個人的お付き合いって?はぁ?なんだよ。気になるんじゃないか。
ビクトール:いや、フリックさんみたいね、楽しい話じゃないから、聞くのは止めといたほうが……
フリック:道案内やめるぞ!話す。
ビクトール:はぁ、わかった、わかった。……昔の話だ。おれの村と、おれの家族がネクロードに滅ぼされた。そういうお付き合いさ。
フリック:っ!!
ビクトール:おれはその日、たまたま近くの町に買い物に出ていたんだ。村に帰って見たものは、焼き尽くされた生まれ故郷と、ゾンビになってお互いの肉を喰らい合う……家族の姿だった……それからだ。おれがネクロードを追って旅に出たのは。
フリック:あっ、そ、そう……か。
ビクトール:ああ、暗い気分にさしちまったが、すまんな。
フリック:なんでだよ!おまえ!
(一発殴る)
ビクトール:いってぇぇ、なんで殴るんだよ!ちゃんと謝っただろうが。
フリック:悪いのは、無理やり聞いたおれの方だろうが。なんでそこで謝る!オデッサのときもそうだった。ぜんぜん悪くないのに、謝るのはいつもお前だ!
ビクトール:おれだって、なんでおまえが怒ってんのか、ぜんぜんわかんねえぞ!
フリック:そうやっておまえだけ、広い心の大人面されんの、むかつくんだ。
ビクトール:まあまあ、そう誉めるな。
フリック:誉めてない!
謎の声:やかましい!!
ビクトール:えっ?
フリック:今、何か聞こえなかったか?
ビクトール:ああ。
フリック:気のせいか?……お、おい!あれ見ろよ、ビクトール。奥の台座の上に、剣が置いてある。
ビクトール:何!
(台座の前)
ビクトール:何だ、この剣。台座から浮いてるぞ。
フリック:ビクトール、もしかして、これが?
ビクトール:ああ、柄の部分に龍の刻印が刻まれてる。いかにも、ネクロードを倒せる武器っぽいじゃねえか。
謎の声:ぽいだと?失礼な男だ!
ビクトール:あっ?
謎の声:汚い手で使うな。この無礼者。
ビクトール:汚い手?ひでぇな、フリック。まだ怒ってんのか。
フリック:ち、違う。そいつだ。そいつが言ったんだ!
ビクトール:そいつ?
星辰剣:そいつ?わたしには、星辰剣という名がある。
ビクトール:おっ……!こ、こいつ、剣のくせに喋りやがった!
星辰剣:ん?ほぉ、おまえの心はいつも闇を見つめておるな……おまえは自分の心に闇を刻んだものを倒そうと、ここに来た。そうだろう?
ビクトール:あっ、ああ。その通り。
星辰剣:わたしは真の紋章のひとつ、夜の紋章の生まれ変わり。夜のしもべである吸血鬼の一匹や二匹、私の敵ではないぞ。
ビクトール:本当か!じゃ話は早え。おれに力を貸してくれ!星辰剣!
星辰剣:星辰剣様だ。
ビクトール:星、星辰剣様ぁぁぁ???何だよ、剣のくせに、横柄なやつ。
フリック:おい、ビクトール。お、落ち着け。
星辰剣:いやならいいんだぞ。きさまだけでは吸血鬼は倒せん。
ビクトール:ああっ!た、頼む!星辰剣様!!
星辰剣:お願いします。星辰剣様。
ビクトール:こっ、このヤロウ!!えっ?おい!フリック、何ニヤニヤしてんだよ、おまえ!
フリック:い~や、おまえのそんな苦虫噛み潰したような顔、始めて見ると思ってな。
星辰剣:こちらも眠るのに飽きたところだ。ビクトール、おまえの持つ闇が気に入った。吸血鬼退治に付き合ってやれ。さあ、わたしを手に取るがいい。
フリック:よかったな。
ビクトール:くっーーーそ。わかったよ、ネクロードの野郎を倒すまで、我慢してやる!
星辰剣:きさま、まだ自分の立場がわかってないようだな。
ビクトール:くっ…………。
フリック:アハハハハハ。
ビクトール:はい、はい。ご協力感謝いたします。フリック、いつまで笑ってんじゃねえ!
フリック:アハハハハハ……。
(それから)
ビクトール:えーー、そんなわけで、この星辰剣様のお力をお借りして、今からネクロードを退治に行って来るぜ。
フリック:ビクトール、本当に一人で行くつもりか。
ビクトール:ああ、おれは長い間、ネクロードを追って旅をしてきた。おれは、おれの戦いを、おれの手で終わらせない限りは、本当の意味での解放軍の戦士として戦えないと思うんだ。そうティルに伝えてくれ。
フリック:ロリマーの仲間達を手土産にすれば、ティルも、マッシュも、文句言わないだろう。
ビクトール:任しとけって。あ、それから……。
フリック:何だ?
ビクトール:昔のことを話したのは、おまえが始めてだ。
フリック:ふっ、おれが強引に聞いたんだ。詫びでもいい。
ビクトール:へっ。じゃ、帰ったら酒でも奢ってくりゃ。
フリック:おれはもう、語らんぞ。
ビクトール:おれがネクロードを倒した武勇伝、聞かせてやろうっての。じゃ、行くぜ!相棒!
星辰剣:気安く呼ぶな。
フリック:どれ、本拠地に戻るか。ティルのやつが心配してるぜ。